財務諸表に計上されるのれん

 

 のれんは企業を買収した際に発生する項目である。例えば純資産100の企業を120で買収した場合,20が買収した企業の(連結)貸借対照表に計上される。純資産は資産から負債を差し引いて計算する。例えば資産が200で負債が100の企業の純資産は100となる。純資産は企業の帳簿上の価値を表す。

 

 なぜ純資産以上の価格で企業を買収するかというと,貸借対照表に表れない価値を評価しているためである。例えばその企業の人材が有するノウハウや買収した企業が有する顧客とのネットワークや,新製品開発力といった力である。

 

 上記の価値が買収することによって,貸借対照表にのれんとして計上されることになる。この例では20がのれんとなる。日本の会計基準の場合,のれんは毎期償却することを要求している。例えば10年で償却する場合,毎期2(20÷10年)ののれんが減少していく。価値の減少分はのれん償却として(連結)損益計算書に計上される。

 

 一方,買収した企業が当初見込んだような価値を生み出せていない場合,のれんを一気に減少させることがある。この処理を減損という。例えば20の価値を見込んで企業を買収したが,その後5の価値しか見込めない場合は15をのれん償却として費用処理する。

 

 当初の価値が見込めずに,減損を行う場合,そもそも子会社や買収企業の業績が悪いため利益が減少している。それに輪をかけてのれんの減損額が費用として計上されるのでますます利益は減少してしまう。さらにのれんは資産に計上されるが,のれん自体を他社に売却することはできず換金性はない。

 

 買収することで売上を伸ばしたり,従業員を増加させたり,他社のノウハウを一気に取り込むことが可能になるが,業績上のリスクも大きいことがわかる。リスクを下げるためには買収金額を低くしたり,本当に買収の効果が望めるのかなどを注意深く目利きすることが求められる。