日産過去最大の赤字:減損とは
日産自動車㈱(以下日産)が過去最大の赤字を計上する見通しだ。赤字の原因となる減損について考えていく。以下は日本経済新聞2025年4月25日「赤字最大の日産、拭えぬ市場の不安 求められる追加リストラ」からの引用。
「日産は24日、25年3月期の連結最終損益が最大7500億円の赤字(前の期は4266億円の黒字)になったと発表した。北米や中南米の工場を中心とした資産の価値を見直し、5000億円を超える減損損失などが出る。」
減損とは固定資産の収益性の低下を反映させるために,帳簿上の価額を臨時的に減額することをだ。減額された部分は損失として計上される。この損失を計上したことが赤字の大きな要因であると考えられる。
企業が固定資産を購入する目的は,固定資産の取得額以上の金額を回収することである。例えば100億円で固定資産を購入したのであれば,100億円以上の現金預金を回収することを期待して投資を行う。
日産であれば固定資産を取得する目的は自動車の生産である。自動車を生産して,販売することを通じて固定資産の取得原価を回収し,さらに投資額以上で回収することを目指している。
ところが,自動車を作っても期待通りに売れる見込みが立たない。トランプ関税により米国での販売価格が上がると,売れ行きは悪くなる。ライバルの自動車メーカーとも競争が激化している。他社と比べてブランドが低いのかもしれない。
2024年度の有価証券報告書に記載されている有形固定資産は4,763,510百万円である。将来的にこれを上回るキャッシュを見込める場合には,通常通り減価償却を行えばよい。しかし,将来キャッシュ・フローがこの金額に満たない可能性が高いと判断されれば、減損処理が行われる。
再び日本経済新聞の記事を一部引用する。
「日産は米国や中国で競争力が低下している。英調査会社グローバルデータによると、米国の工場の稼働率は24年に57.7%だった。中国は45.3%、日本も56.7%で、自動車業界で稼働率で損益分岐点とされる8割前後を大きく下回る。」
上記の記事のように操業度が低くなっている。生産量が減っているため,販売量も減る。したがって有形固定資産への投資額が回収できないのである。そこで日産は減損を計上しなければならない。これが赤字の理由である。
なお,減損を計上した翌期以降の収益性は改善する傾向がある。有形固定資産の帳簿価額が減損を通じて減少しているため,減価償却費も減るからである。日産の業績回復が待たれる。