NEXCO西日本と日本高速道路保有・債務返済機構

 高速道路を所有する組織はどこであろうか。最近NEXCO中日本が,大規模ETC障害を起こしたことで話題になったが,NEXCOは高速道路の所有者ではない

 

 高速道路の所有者は独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構(以下機構)である。

 

 各高速道路株式会社(東日本,中日本,西日本),首都高速道路株式会社,阪神高速道路株式会社及び本州四国連絡高速道路株式会社は機構が所有する高速道路の新設・改築・維持・修繕・災害復旧その他の管理等を行う。6社は高速道路会社という。

 

 機構の令和5年度財務諸表等と西日本高速道路株式会社(以下NEXCO西日本の第19期期有価証券報告書を用いて両社の関係を会計数値という点から見ていく。

 

 機構の貸借対照表を見ると,資産合計は約41兆6千億である。うち有形固定資産が40兆6千億円である。有形固定資産の大部分が高速道路に係る資産であると考えられる。

 

 また,道路資産貸付料等未収入金が5千億円計上されており,高速道路会社に対する債権である。未収入金の内訳をみるとNEXCO西日本に対して3月分道路資産貸付料1千7百億円とある。

 

 令和5年度の「道路資産貸付料収入」は1.9兆円である。つまり,機構が所有する高速道路を高速道路会社に貸し付けて,そこから貸付料収入を得ている。

 

 次にNEXCO西日本有価証券報告書を確認する。令和6年3月31日時点の資産合計は2兆5千億円である。機構と比較して資産が少ないのは,高速道路自体を所有していないからである。

 

 同社の資産のうち,最も金額が大きいものは,仕掛道路資産の1兆4千億円である。これは,高速道路の新設・改築・修繕又は災害復旧の結果生じた資産である。仕掛道路資産は工事完了時をもって機構に帰属する。

 

 営業収益は高速道路利用者の料金収入,機構に引き渡す道路資産完成高,受託業務収入,その他の売上高で構成される。営業収益合計は約1兆であり,7割以上を料金収入が占める。

 

 このように機構(公的企業)が高速道路を所有し,高速道路株式会社(民間企業)が高速道路の運用を行う構造になっている要因は様々考えられる。例えば完全に民間主導で高速道路を運用してしまうと,利益第一主義に走り,国民全体の財産である道路の利用が妨げられる弊害があるからである。

 

 また,民間企業が高速道路を運用することにより,競争が促されるため,業務の効率化やサービスの質向上が図られるという期待もあると考えられる。

 

参考

決算|独立行政法人 日本高速道路保有・債務返済機構

有価証券報告書 | NEXCO 西日本 企業情報