イー・ギャランティ株式会社と売掛債権保証

 イー・ギャランティ株式会社(以下イー・ギャランティ)は売掛債権の信用保証が主たる事業である。同社のビジネスモデルを確認したのちに,有価証券報告書を読んでいく。

 

 イー・ギャランティは事業会社から売掛債権の信用リスクを引き受ける対価として保証料を受け取る

 

 売掛金受取手形などの債権(以下売掛債権)は主たる事業で取り扱う製品・サービスを販売した際に生じる。売掛債権は後日現金預金として払い込まれる。これを回収という。

 

 売掛債権が回収できない場合,貸し倒れとなる。売掛債権が貸し倒れてしまうと,製品やサービスを販売したにもかかわらず現金預金が入手できない。これが信用リスクである。

 

 イー・ギャランティは売掛債権の信用リスクを引き受けるので,万が一事業会社が得意先の倒産等により売掛債権が回収不能となった場合,事業会社へあらかじめ設定した支払限度額を上限に保証金を支払う

 

 同社の2024年3月31日における売掛債権の保証額は751,842百万円である。一方同社の総資産は30,109百万円であり,返済義務のない調達先である純資産は24,126百万円である。

 

 総資産ないし純資産の金額に対して保証額が大きく,このままだと売掛債権の未回収額が一定額発生すると保証金の支払いが行えない

 

 そこで,同社は売掛債権の信用リスクを流動化して,地方銀行を中心とした金融機関に販売している

 

 信用リスクを引き受けた金融機関に対して,イー・ギャランティは費用を支払う

 

 イー・ギャランティが事業会社から売掛債権の信用リスク引き受けに対する保証料を受け取る。これが同社の売上高である。上記の費用を支払う。この差額が利益となる。

 

 なお,売掛債権の保証額は751,842百万円のうち116,529百万円は,同社の子会社(出資比率は51%~60%)が引き受けている。つまり,信用リスクの一部は外部に販売せず同社が引き受けている。

 

 以上を踏まえて,同社の2024年3月期有価証券報告書を見ていく。

 

 連結貸借対照表の総資産は30,109百万円であり,うち15,043百万円が現金預金である。また投資有価証券が9,610百万円あり,換金性の高い資産が大部分を占めている。

 

 連結損益計算書売上高は9,165百万円である。これが信用リスクを引き受けた保証料である。売上原価は1,796百万円であり,これは信用リスクを引き受けた金融機関に支払った費用である。販管費を差し引いた営業利益は4,850百万円,当期純利益は3,402百万円である。

 

 売上高当期純利益率は37.1%であり,収益性の高い企業であることがわかる。

 

イー・ギャランティは,「信用リスクの証券化・分散」を通じて高収益を実現している企業である。一方で,保証額の規模に対して自己資本は少なく,流動性と信用リスク分散の継続性がビジネスモデルの根幹を支えている